インド農民の生活改善支援

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プロジェクトの背景

私たちは2019年3月からお釈迦様の聖地で有名なブッダガヤの農村にて、総合的な農村開発事業を開始しました。ブッダガヤがあるビハール州はインドの中でも特に貧しい州で、近年、経済成長が目まぐるしい都市部と比べると、人々の生活は豊かとは言えず、公衆衛生の改善も必要な状況です。

このような状況を改善するため、私たちは、次の4つの事業を実施しています。

①有機農業の普及

②女性の社会進出促進

③エコサントイレの建設

④学校児童への環境教育

プロジェクトについて

1.有機農業普及を通した生活改善支援

事業地であるバカロール町には7つの村があります。私たちは各村にビニールハウスを建設し、環境にやさしい有機農業の研修を行っています。有機農業では、農薬を使わず、インドの農村で身近に手に入る牛糞とミミズから作った堆肥を利用しています。また、ニームと呼ばれる樹木のオイルやヨーグルトなどもインドの有機農業では頻繁に堆肥として用いられています。

私たちがこの事業で目指していることは、①ビニールハウスで栽培した有機作物を、都市部に向けて販売することで、農民たちの所得向上につなげること、②研修で学んだ有機栽培の方法を農民たちが実践し有機農業が広まっていくことの2つです。

研修で技術を教えるだけではなく、農民たち自身が有機農業に取り組みたいと思えるようになることを目指し、生活全般や現在の農業のことなど農民の話に耳を傾けることから始めています。

(左・右)ビニールハウスでの栽培研修の様子

2.女性の社会進出促進

インドの農村には、学校に行く機会のなかった成人女性が多くいます。私たちは、彼女たちに向けて識字教育を開催しました。2021年7月までに、7村で合計250名ほどの受講者があり、識字教室は大盛況でした。授業の習得度を確認するために3回行った試験では、8割以上の受講者が合格し、彼女たちの強い学習意欲を感じました。受講者からは、「字が書けるようになり銀行口座を開くことができた」「自分の孫に字を教えてあげたい」をいう話を耳にし、私たちも嬉しく感じています。

また、若い女性たちからは、ミシン教室を開催してほしいとの要望が多くあり、2020年12月からはミシン教室を開始しました。最初はおぼつかない手つきでミシンを扱っていた女性たちですが、3カ月も経つと、慣れた手つきでミシンに糸を通し上手に縫えるようになりました。嬉しいことに、10名の女性が、自分の住む村で仕立て屋を開業しました!

(左)識字教室の様子 (右)裁縫教室にてミシンの練習をする様子

3.環境と衛生にやさしいトイレの普及(エコサントイレの普及)

環境保護と人々の健康を守るため、バカロール町内に21基のエコサントイレを建設しました。まずはトイレを建設できる人材を育成するため、日本人専門家によるインドでの建設者の育成から始めました。エコサントイレは、公衆衛生の改善だけではなく、人間のし尿を農業用の肥料として利用できるというメリットがあります。アフリカで1,200基以上のエコサントイレを建設したNICCOの経験を活かし、インドでも普及を進めていきます。

NICCOが建設するエコサントイレって?

(左)エコサントイレ講習会の様子 (右)トイレがなかった家に建てたエコサントイレ

4.環境教育

ゴミ問題もインドの深刻な社会問題の一つです。人々はそこかしこにゴミをポイ捨てし、あちこちにゴミが散乱しています。牛や山羊、野良犬などの動物がゴミに混じった食べ物を食べに来るので、ゴミはさらに散らかる上、動物の体内にもプラスチックなど有害物質が取り込まれます。

私たちの活動する農村ではゴミ箱を持っていない家庭も多いため、2020年に、各家庭にゴミ箱を配布しました。また、学校児童への教育が大切と考え、地元の学校に協力を依頼し、一緒にゴミ拾い活動を行ったり、環境教育の出張授業を行ったりしています。

(左)学校児童とゴミ拾い活動 (右)学校児童への環境教育

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